雪が雨に替わる時期になりました。
こうなると「雪」が妙に愛しくなりますね。
花の色は 雪にまじりて 見えずとも
香をだににほへ 人の知るべく
参議小野篁の和歌です。養女になった小野小町の有名な和歌
花の色は 移りにけりな いたづらに
我が身世にふる ながめせし間に
は 養父のこの和歌を引き立てるために創ったとする説があります。
また
我が岡に盛りに咲ける梅の花
残れる雪をまがへつるかも 大伴旅人(万葉集 巻八)
花の色は かすみにこめて 見せずとも
香をだにぬすめ 春の山風 遍照(古今集)
夏衣 春におくれて咲く花の
香をだににほへ おなじ形見に 藤原家隆(新捨遺)
と同系の和歌もあります。
百人一首にも次の和歌が採用されていますね。
わたの原 八十島かけて漕ぎ出でぬと
人には告げよ 海人の釣り船