画狂人

今週のお題
北斎をこう呼んだ桜田常久。たしか第12期の芥川賞作家です。大先輩の瀬木慎一氏もそう呼んでいました。桜田常久の「画境人北斎」は三部構成での発行計画でしたが 上巻 中巻 と発行された後 下巻の発行を待たずに残念ながらお亡くなりになられました。著者は美術史家の眼をも持ち備えた著述家だと思います。作品に注ぐ眼差し 史料の分析等々単なる「よみ本」を逸脱しています。原作は日本共産党の新聞「赤旗」日曜版に連載されたものです。最後まで書き上げられたかどうかは不明です。中巻は北斎75歳まで書かれています。残り15歳の晩年は北斎にとって重要な歳月です。長野県小布施の高井鴻山との交流がポイントです。江戸から離れたこの地で ご法度のインコ リス そしてエンゼルまで作品にそっと忍び込ませております。これが幕府の知るところとなれば ただでは済みません。北斎はご法度をうまくすり抜けた稀有な絵師かもしれません。もし下巻が未脱稿であれば 続きを書きたい。