推理の“糸”

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西仏遺跡の一角にある広大な畑。麦を栽培した跡です。県道に面した処に

黒曜石が  ある。


待てよ 黒曜石の破片や剥片に混じって石鏃や細石刃などが集中して採取しているポイントから35mも西だし この位置からの採取は初めて。
この市の道路工事に黒い砕石に黒曜石が混じっていた。それかもしれない。

こんな風に大は59gから5mm角までダンボールにひとつも採取している。不透明な黒曜石であるし 40mm前後の厚みで凝固した特長持つ。



洗浄してみると 僅かに透明度を示す。石核のようだ。神津島の原石くさい。この辺りの遺跡は30%は神津島原産の黒曜石を使用しているようだ。
黒曜石やチャートを使用した石器の加工はポイントポイントに集中する傾向がこの市の遺跡は顕著だ。ここもそのひとつかも知れない。
今までに採取した黒曜石・チャートの石器は

このように分類されている。
上列中央から右に3個はめずらしい「ハート型」で しかも中央とその右はミ二チュアの関係かもしれない。事実であれば世界初!
下列の右端は磨製のナイフ刃先。これも希少。

後期旧石器時代の象徴である細石刃と思われるものは

北方2kmにある白幡遺跡では

大振りなチャート製石鏃 フォルムの整いもベスト。機能的には殺傷力を高める鋸歯状刃を備える初期のものか?

有頚でこの透明感のある石鏃は貴重品。

“麗しい”石鏃(瑪瑙製だったら凄い!)

ハコフグくん」と名付けたナイフ(瑪瑙?)

10gの掻削器らしき黒曜石製石器が表採されることはめったに起こらない事だが 白幡遺跡では起こった。

これは日にちを掛けて丹念に黒曜石などの剥片・破片などを採取し 推理してゆく作業の結果としてうまれる。

これは長野県神子柴遺跡(みこしば)の尖頭器(国重要文化財)です。このような素晴らしい黒曜石石器を「手」にする夢は常に見る。
(堤博士に頂いた絵葉書 PHOTO T.OGAWA)