誕生日の奇跡

昨日(1月19日)は堤 隆博士のBLOGで目出度く(?)50回目の誕生日をからかい半分で祝った。
今日 20日は櫻田常久先生の誕生日である。といっても何人の方が先生をご存知か?おそらく いらっしゃらないかも。
先生は1897年1月20日 大阪でお生まれです。帝大(東大)で川端康成と同期 1941年「平賀源内」で1940年度下半期芥川賞受賞。1932年から町田市(当時は町)に住まい 半農生活 町議や農地委員会委員長を勤めたりもしている。

大衆小説本のような装丁は先生の趣味ではない あくまでも出版社の意向 東邦出版社は吸収合併後 跡形も無い。
日本美術史のスタンスから申し上げれば 葛飾北斎の伝記として これの右に出るものはありません。
ただ残念な事にこの二冊は1971年1973年に発行された「上巻」なのです。1971年に「中巻」が発行されました。これが今日の主役です。東京都内の公立図書館に9館だけが所蔵しています(勿論 国会図書館も含めて)。
古本店を何軒廻ったか 連絡したか数も覚えておりません。10年はもうとっくに経過しました。ある公立図書館では私が返却したその日に「除籍」処理をして捨てました。そこの館長以下この本の重要性は折にふれ説いておりましたのに。
完全な手違いで 追跡できませんでした。


「誕生日の奇跡」
今日のタイトルです。そうです 10年を越えて福井県で見つかりました。それもひょんなきっかけで。
昨日 鶴ヶ島中央図書館の司書さんや文化財の方々にお世話になったお礼にと 採取している遺物の一部と先の石器原石のご報告に伺った帰り際に その内の親しいYさんから一冊の参考書籍の資料を頂きました。貸し出しできない本ですので 早速WEBで古書サイトで調べましたが 皆無でした。少し根気が要るなと思わされる事態でした。いつも最後にはダメもとで検索するのが「画狂人北斎」中巻です。もう目をつむっても入力できるでしょうか。「NO」と出るのを待っている時に
「奇跡」が・・・・
「上巻」「中巻」二冊SETで。これで「上巻」が三冊になってしまう? いいんです 二冊目だって安売り〈大手)に放置されているように扱われているのを 捨て置けず購入した経緯があるんですから。
この本は不思議な発行経緯を持っています。
1971年 上巻との標記のない「上巻」発行
1971年 「中巻」発行
1973年 上巻との標記のない「上巻」発行
1974年 上巻との標記のない「上巻」発行(?)
ここまでで先生は逝去されました。きっと無念だったでしょう。北斎75歳までで途切れました。ここから90歳までがある意味北斎の「華」ですから。
「画狂人北斎」は実は「赤旗」日曜版に連載されました。完結したかどうかは不明。原稿や資料などの存在も不明。
おそらく出版社の東邦出版と運命をともにしたようです。
幻の「下巻」は どうします? イヒ!!