うたまろ・おまーじゅ

外国で知られている日本人の名前が話題なる事がありますが 時の総理の名前が一番になる事は永遠に無いのでしょうか?
美術関係のトップクラスは江戸期浮世絵の「葛飾北斎」「東洲斎写楽」「喜多川歌麿」「歌川広重」と続きますか。
「美人大首絵」は写楽に大きな影響を与えた
寛政三年のブランクに「女達磨図」で工夫し翌年から大ヒットとなる「美人大首絵」は単なる上半身を描いたわけではない事は既に述べました。内面までに迫ろうかと言う表現が可能になるのです。これを重三郎と写楽は見のがす筈はありません。確かに役者絵では似たようなものはありましたが それはブロマイドの域を出るものではありませんでした。
描かれた本人が一番嫌悪感を強めたあの写楽の大首絵は 内面を抉る迫力を持っています。写楽は単に歌麿の「女大首絵」の手法を真似たのではなく 更なる高見に到達しています。

★「スポルディング・コレクション」のもたらすもの。
江戸期浮世絵は保存状態が思わしくなく評価が安定しない傾向にあります。そんな中でも北斎 写楽の作品は「世界基準」での最高ランク五つ☆が多数あります。広重もちらほら。歌麿はその偉業に比してどうか?と感じておりましたところ 保存状態最高品がオープンされました。現在評価中ですが何点かが五つ☆にランクインするでしょう。特に既にUPしております「歌撰恋之部 物思恋」は あの「モナリザ」を凌ぐと考えております。
この「コレクション」も齎したことに 歌麿の特筆すべき表現技巧を観ました。次項に詳しく述べましょう。

★「透ける表現効果」
浮世絵は言うまでもなく版画です。「透ける」技法は版木を造る彫師 それを刷り仕上げる刷師 勿論 絵師も技量の優れた集大成ともいえる離れ業です。江戸期浮世絵文化の昇華といえましょう。
この「二の腕」が透けて見える効果は計り知れないでしょう。しかも真夏に「雪紋」を配した気遣いをみせる。
「呂」や蚊帳などを非常に効果的に使用しています。また下に着用した着物の模様を効果的に表現している作品も見つかっています。
そしてその頂点にランクするのが 実に禁断の「秘画」にある。
「歌まくら」のうちの一点 これです。

かってポルノ映画がアカデミー賞の候補にでもなった事があるでしょうか?
歌麿に少し遅れて世に出た北斎は 歌麿を常にライバル視している。「秘画」でも「オレのほうが数段 品がいい!」と口癖のように繰り返しています。
女性のむき出しになった左足が相手の足を絡め捉え 男性の着用していた「呂」に足先を透けさせる。
男性の右手に持った扇に気が薄れて動きが止まる そこに《蛤にくちばしをしっかりとはさまれて鴨たちかぬる秋の夕ぐれ 飯盛(宿屋)》とある。あなたはどう評価されますか?コメントを頂ければ幸です。