石器の音色ー2

④石匙(いしさじ)

上部の突起をもって物を食べる時にナイフとして使われました。したがって下辺は鋭い刃になっています。長い期間使用したのでしょう 刃を何度も調整した形跡があります。この場合「押圧剥離」と言う技術を駆使します。使用者は「右利き」とみえて保護テープの上(突起の中央部)に親指の“アタリ”部を削り 突起部の左に人差し指用に欠き込みを 突起部の裏側に中指の“アタリ”が指の関節を含めた加工を施しています。この様に旧石器時代からホモサピエンスは 現代で言えば「人間工学」に基づいた道具創りを行っています。もっともこの石匙が良い音色を奏でるといってもテーブル・ベルに使われた証拠は全くありませんが。西仏遺跡出土。


⑤スクレーパー

右下部の刃部に欠損があります。上部左から人差し指の腹が沿い 左端部を中指の左横部を沿わせ 左端部裏側に親指の先端部がアタルように削り込みが設けられています。いかにも使い易いスクレーパーです。
右半分の上部は2倍の厚みをなだらかにつけているのは 使用時の“力”のかかる部分の補強でしょう。これも負けず劣らず妙なる音色を奏でます。
白幡遺跡出土。


⑥分銅型石斧(前出)

これも美しい音色を奏でます。
しかも「縦斧」にしては厚みが少なく平板です。また上部の刃は先端が尖り下部の刃は円形です。特殊な用途があったかもしれません。またこのアイテムは炭素分析で年代測定をする予定があります。旧石器時代の可能性が十分あるからです。上ノ原遺跡の出土です。南斜面から黒曜石の細石刃の剥離片とみられる出土があったからです。